TENGA VOICE

箕輪厚介

#90

箕輪厚介 編集者

『日本っていったらTENGAだよね(笑)』みたいに(笑)とかつけなくて、真正面から話せるような立ち位置になる。そうなった時に、社長の著者名でTENGAの本を出したら売れるんじゃないですか。これはジョークではなく、そうなるような気がします。

言わずとしれた天才編集者がTENGA VOICEに登場!TENGA社長と箕輪氏が語る「ビジネスで一番大切なこと」

2020年1月26日(日)に、編集者・実業家の箕輪厚介さんとTENGAのコラボアイテムが発売されたのですが、皆様ご存知でしたでしょうか?
発売に伴い、箕輪さんとTENGA社長・松本光一によるトークイベントが、TENGA初の常設店「TENGA STORE TOKYO」が入っている阪急メンズ東京(東京都千代田区)にて開催されました。今回はそのレポートを掲載させていただきます。
イベント当日は、実業家として活動する2人がビジネスの根源についての話をするということで、会場は箕輪さんとTENGAのファンで賑わっていました。司会のTENGA広報西野芙美さんが挨拶をした後お二人を招き入れ、箕輪さんと松本社長が壇上へ。マイクを持ち、今回初対面となるお互いの印象について語ります。

箕輪さん

「僕はTENGAの本を読んでいて、社長の人となりを知っていたので、そんなに違和感はないですね。
『TENGAの社長』と聞くと、パーティーピーポー的な人だと思われる方もいると思うんですけど、本を読めばプロダクトを作っている技術屋さんということはわかります。今日会って、やはりイメージ通りの方でした。」

松本社長

「ありがとうございます。今社員が120人いるんですけど入社してくれる人は、ほぼ全員私をパリピだと思っていました。(笑)実際は技術屋なので、全然そういうのはないんですよ。箕輪さんは事前に自分のことを知ってくださったので、初対面でも話が弾みました。」

お互いの印象を語ったところで、イベントはスタート。
互いに質問を送り合う形式で進行していきました。

 ブランディングで大切なことは、『誠実さ』と『想い』

箕輪さん

「TENGAのブランディングで大切にしていることはなんですか?TENGAはアンダーグランドだと思っていたのを一気にカッコよくしたブランドなので、まずはそのブランディング方法について聞きたいです。」

松本社長

「TENGAのブランディングで私が一番大切にしていることは『誠実さ』と『想い』。この2つです。
この阪急メンズ東京の6Fに、TENGA発売開始から5000日目にして誕生した初の直営店、TENGA STORE TOKYOがあるんですが、私は直接小売業を行うのは初めてなので、毎週大体土曜日に店に立ち、小売とは何かについて勉強しているんです。その中で、今言った『誠実さ』と『想い』が大切だと再確認しましたね。お店に立ってお客様と話していくと、この商品はどういう想いで何を実現したくて誰に喜んでもらいたくて作ったという、『なぜ』のところをいかに説明できるかが大切なんですよ。そして、これを説明できると『共感』が生まれます。『共感』が生まれ、さらにそれが高い技術で優れた製品の場合、はじめてお客様の心が動くんです。それは、対一人でも大規模なプロモーションでもまったく同じ。製品をつくる上でも、ブランディングでも、大切なのは『誠実さ』と『想い』である。そういうことを日々勉強させていただいています。」

司会(西野さん)

「そうですね。お店に来ていただいたお客様とお話していると『そんなこと考えて作っていたのか!?』とびっくりされる事が多いんですよ。また、そこにプラスして、技術というところにも驚かれる方が非常に多いです。箕輪さんからのもうひとつの質問で、テクノロジーへの拘りというところもありましたけど、その辺についても教えてください。」

箕輪さん

「僕が高校生の頃のオナホールって完全に単なる穴が空いたビニールの固まりでしかなかったんです。それって嘘ばかりを並べて買ってもらうような広告と同じ戦法なんですよね。やり逃げ商売というか、キャッチで惹きつけて1回以上買わせたらOKで、その商品で満足してもらうことは考えていないんですよね。エロいこと書いたり女優さんの写真載せたりして『え、まじ?』と想像させて買わせる商売。オナホールはそういう市場というものが確立されていた中で、テクノロジー部分を世界ではじめて追求したのはすごいと思います。」

松本社長

「技術を追求するのは必然だと思っています。
TENGAを発売し15年経ちましたが自主制作期間が3年あるので、製品を作ろうと決意したのは19年前なんですよ。
その時に思ったことは、アダルトグッズというジャンルは、責任とか品質とか表現の仕方とか、アンダーグラウンド的な共通理解で成り立っているものだと思います。私はそれを否定はしません。それはそれで良いと思っています。けど、自分が目指したものは、一般のものとして扱われるような新しい品物で、新しいマーケット、新しいジャンルを作ることだったんです。そうすると、品質が高く使用感の高いものを想いを込めて作らなければならない。そして、これを作るためには高い技術が必要になり、新しい材料を作ったり、新しいものを研究していかなければならない。目指す目標を考えたら、必然的に技術の追求は必要になってくるんですよ。」

松本社長

「でも、技術や理屈やロジックやマーケティング等色んなことがありますが、根幹のところは、『誠実さ』や『信念』や『覚悟』だと思うんですよね。なにがあってもなし得るという覚悟がないど、何もなし得ないんですよ。これが長くやってきた上での事実だと私は思っています。」 

箕輪さん

「マーケティングとかブランディングとかの手法って本気だしていれば勝手に身につくんですよね。周りの人だって協力してくれる。TENGAのマーケティングとは?という特集もあったりしますけど、本人はただ真剣にやっているという。」 

松本社長

「ちょっと最近気がついたのは革新的とか新しいとか言われるのってやり切った後なんですよね。やっている本人は革新的だと思っていない。本人は必死でチャレンジしている。それが後で、評論家とかが、経済の理論とかマーケ理論にのせて分析しているんですよ。これは最近気づきました。」

今の編集者のあり方とは

松本社長

「これは私から箕輪さんへの質問なんですが、編集という仕事とは何かについて教えて欲しいです。皆さん本を読んでいるし知識もあるし一般論はわかると思います。ただ、編集とは何かについて日々変わっていると思うんですよ。今日はその最新版を聞いてみたいです。」

箕輪さん

「これが編集だ!とか言ってしまえばそれっぽいんですけど、なんでしょうかね。
一般的に言うと、世の中にある素材を使って並び替えたりパッケージにしたりして、世の中に受け入れられるもの仕立てるものが編集者と言われています。アーティストや芸術家が0から1を必死に作るとしたら、すでに世の中にあるものを『価値があるもの』と定義し直し、素材を活かすために混ぜ合わせて繋げて、パッケージにして世に出すのが編集者。でもいわゆる編集者ってずっと本の中でやっていたんです。一章はこれで、二章はこれで、三章はこういう風に盛り上げて行きましょうと。今は本の中の作業は全体の5割くらいで、今の時代の文脈としてどういうふうに読まれるべきかを考えることが大切になってきています。例えば、今回発売した『死ぬこと以外かすり傷』の漫画に置き換えてみると、書籍版に比べて、この読者は30代のビジネスパーソンよりも少し若いんですよね。なのでその人たちが大人になったときに、『あの漫画面白かった』と言われるのが正解だなって思っています。そうなると、TENGAのようなブランドとコラボしてる空気感を出したいなと。そういうのがいいなと思って今回やらせていただいてます。世の中に無数にコンテンツがある中で、どういう立ち位置で見て欲しいか。それをプロデュースするのが編集としての仕事かなって思っています。」

松本社長

「もし、TENGAを題材に本をつくるならどんな本を作りますか?」 

箕輪さん

「話は変わってしまうんですが、一度広告部でTENGAとタイアップしてコンビニ流通させたいと思っていて提案したことがあるんです。
結局、TENGAのローションが漏れたりすると他の本に迷惑がかかるということで話はなくなったのですが。笑編集者として思うのが、この先TENGAは日本を代表するアイテムになると思っていて、そうなった時にその話を真正面から改めてしたいですね。『日本っていったらTENGAだよね(笑)』みたいに(笑)とかつけなくて、真正面から話せるような立ち位置になる。そうなった時に、社長の著者名でTENGAの本を出したら売れるんじゃないですか。これはジョークではなく、そうなるような気がします。」

 自分の中に信念をもつことと、何も考えずにやってみる

司会(西野さん)

「最後に、箕輪さんとTENGA社長のようにわが道をいきたいという方へのアドバイスを教えてください。」

松本社長

「新しいこととかそれまでにないことを始めたときに、枠外だと叩かれるんですよ。枠にはまってないと叩かれるんです。でも、大事なのはそれが正義であるかどうかだと思っています。それは、人を幸せにするものか、人に喜んでもらうものか、人を傷つけないものであるか。そこが最終的に正義であれば、叩かれようが何しようが、それは間違っていないと思います。そしてちゃんと自分の中に信念があるか。強い想いがあって、信念があって、ちゃんと覚悟ができるか。それがないとわが道をいくのはとても難しいと思っています。もうひとつは、核の部分ですね。核というのは技術だったり品物だったりサービスだったり色々あると思うけど、それはビジョンを明確化しないと生まれないんですよ。そして、自分のこれからすることが優位性があることを人に説明できなければ人は共感してくれない。ビジョンがあって優位性がちゃんとあるというあたりがわが道をいくというところでは大切かなと思います。」

箕輪さん

「今おっしゃったのが、本当に重要な根っこの部分だとすると、僕個人としてそこに付け足し、あえて表面的な話しをすると興味がむくままに何も考えずにやるということがすごく大切だと思います。根っこがないとただ、何の無計画でふわっとしたやつになるんですよ。根っこがあった上でやるということが大切だと思っています。」

最後にお二人からそんな熱いメッセージをいただき、当イベントは終了しました。

トークが終わった後は、今回のコラボ製品を簡単に紹介し、来場いただいた皆様と共にTENGA STORE TOKYOのショプツアーへ向かいました!

箕輪さんのサイン会や撮影会も行い、お客様も終始楽しそうにしておりました。

箕輪さん、TENGAとコラボしてくださってありがとうございました!

(文/工藤まおり)

 

箕輪厚介

箕輪厚介 編集者

数々のヒット作を世に送り出しているカリスマ編集者

1985年生まれ。2010年に双葉社に入社。広告営業などを経て2014年より編集部に異動し、『たった一人の熱狂(見城徹)』『逆転の仕事論(堀江貴文)』などを担当。2015年幻冬舎に入社した後は、NewsPicksBook編集長として『多動力(堀江貴文)』『人生の勝算(前田裕二)』『お金2.0(佐藤航陽)』『日本再興戦略(落合陽一)』などの話題作を生み出しつづける一方、自著『死ぬこと以外かすり傷』が11万部を超えるヒットに。

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