TENGA VOICE

穴野をしる子

#96

穴野をしる子 ドラァグクイーン

一番尊敬しているのは、明日の自分!周りと比較してもしょうがないから、成長していく自分を目標にした方がいいんじゃないかなって思うんです。

九州生まれの褐色のグラマーなボディからパッション溢れ出るパフォーマンスで、見る者すべての目を釘付けにするドラァグクイーン*、穴野をしる子さん。実は教員免許をお持ちで、TENGAとJob Rainbowが主宰のLGBTの人々の就労を支援する「PRIDE SCHOOL」に、講師としても参加いただいています。言葉の端々から穴野さんの生き方を感じ取れるような、名言続出となったこのインタビュー、とくとご覧ください!

16*ドラァグクイーンとは、クィアカルチャーで歴史の長い、パフォーマーの一種です。ゲイのクラブなどが発祥とされていて、多くの場合、ゲイのパフォーマーが派手なメイクと「女装」でステージで踊ったり口パクをしたりするパフォーマンスが定番です。(Job Rainbow MAGAGINE参照)

 

ご出演のショーでは踊りを披露されていますが、こだわりはどのようなところですか?

すごくカッコつけて言えば、「世界観を出す」みたいな踊りですね。

ポイントで何をやるかは決めて、それ以外は基本的に即興が多いですね。ギミック(ちょっとした仕掛けのこと)の「かつらが取れる」などは、仕組んだりします。同じショーでも、いつ見ても楽しめると思います。ショーは生ものですから。


テレビの影響でコミカルな印象が強いかもしれないですけれど、メインは「踊るぞ!」という感じで踊っていることが多いんですよ。誰かの真似はしないです。ぜひそっちも見てほしいですね。

舞台で意識していることはありますか?

ドラァグクイーンの先輩からショーは自分のものになるまで4回以上やらないと自分に馴染まないって言葉があったんです。 なので、しっかり一回一回のショーを自分のものにするぞって意識はしてるかもしれないです。

ドラァグクイーンになるきっかけは、「流れだった」とお話されているインタビューを見たのですが、そういう方が多いのですか?

私の場合は、ゲイバーのイベントがあったときに「女装しなさい」って言われてやってみたらハマって、イベントをやっている知り合いに「ショーへ出てみなよ」と勧められたのがきっかけでした。私の先輩もそういう風に行き着いた場所というか。

 

今はやりたくて始める人が多いんですけど、昔は「流れ」でなる人が多かったかな。今は日本でもドラァグクイーンのポジティブな認識が広まって憧れの存在になっているけれど、以前はゲイのヒエラルキーの中では最下層に近いくらいでした。
ゲイって、どこかしらで男性味(男性らしさじゃなくて)を欲するところがあるから、ドラァグクイーンのような「お化粧する人」は、恋愛対象から外れることが多かったですね。


「ゲイとしてはまったくモテないけど、化粧を塗ってみたらみんなチヤホヤしてくれたわ」みたいな、ある意味悔しさをバネに上りつめている人もいますから。海外はプラスなイメージで始める人が多いけれど、日本は底から這い上がってやろうと思ってやってる人の方が残っているように思います。

ドラァグクイーンの衣装やかつらはどのようにして作ったり、選んだりしているのですか?

衣装やかつらは2つ頼むんです。1つ目は「こうやってください」って指定して、2つ目は「私に似合うものを作ってください」って言うんです。

 

ずっと継続してお願いしている作り手さんもいるし、インスタとかでいいなと思った人に頼んで作ってもらうこともあります。

4年くらい前かな、ニューヨークで、簡単に言えばドラァグクイーンのコミケみたいなお祭りがあって。ドラァグクイーンが制作しているかつらのブースで「お願い!日本から来たの!この日のために!」って言ってお願いして買わせてもらって、かつらを抱いたまま飛行機に乗って帰ってきました。そういうご縁もあります。

 

どれもこだわって作ってもらったやつだから、一番のお気に入り。

女装する時としていない時では、気持ちの変化などはありますか?

まったく変わらないですね。スイッチが切り替わる人もいるんですけど、私はドラァグクイーンの延長線上に自分がいて、自分の向かい側にドラァグクイーンがいるという形で、向かい合っているみたいな感覚。

 

常にドラァグクイーンとしての自分のことを考えちゃってるかもしれない。それは生きていく上で失敗でもあり、成功でもあるかもしれないですね。

一番尊敬する人はどなたですか?

明日の自分!

クイーンってみんなが個人事業主みたいなものだから、こうなりたいっていうのはないんですよ。だって自分が正解だから。周りと比較してもしょうがないから、成長していく自分を目標にした方がいいんじゃないかなって思うんです。

 

昔高校でラグビー部だったのですが、スポーツをしていたときもそういう心の持ちようでした。

人を見てすごいと思うけれど、それを真似るのではなく、自分のヒントにしちゃうというか。「この人を尊敬してます、こうなりたいんです」っていうのはないかな。

をしる子さんの夢は何ですか?

あるけど、言わないようにしてる。遺書に書いて家のテレビの裏に貼ってるんです。
もうちょっと夢をアップグレードできるんじゃないかなって思っているから、最上級で叶ったときに表にだそうと思って。


でも地元が盛り上がればいいなってニュアンスのことですね。地元が大好きなので!

TENGAを初めて知ったのはいつで、どんな印象を受けましたか?

私が高校生のときに、TENGAが世に知れ渡ってきた感じだったのよ。やっぱり探究心がでるよね。実家だから郵便局留めにして、夕ご飯食べた後に「友だちと会ってくるね」って取りに行って、ダンボールを引きちぎって、TENGAだけバッグにいれて持って帰ったことあった笑。白(TENGA ORIGINAL VACUUM CUP SOFT)がよかったですね。友達にも配っていて、白が人気だったね。

 

あれTENGAって18禁だっけ。あっダメだった!笑 時効なんじゃない?笑

こんなTENGAがあったら!というアイデアはありますか?

同性同士でも共に楽しめるようなもののレパートリーに、もっと深さがあったらいいんじゃないですかね。あとは女性側も男性側も気持ちよくなれるような、お互いがwinwinのものがあったらいいんじゃないかしら。

PRIDE SCHOOLを引き受けてくださり、ありがとうございました。講師としてお話されて、どうでしたか?

私、教員免許を持っているんですよ。先生って、自分の想いを真面目に伝える仕事じゃない? いままで、人前で面白おかしくしゃべることはあったけれど、フォーマルな場所で真面目に聞きに来ている人に向けて想いを伝えられる機会がなかったんですね。

 

でもどこかで夢の名残があって、こういう機会があるんだったらやりましょうと、決断は早かったです。

 

ただ、引き受けた後に「どうしよう!」って思ってたの。真面目に話を聞きたい人が集まっているわけだから、私みたいなふざけた者がしゃべっても……と思っていた。けれど、実際に話した後に質問がたくさんきて、すごく安心したの。人の興味をひくようなお話ができたことにプライドを感じた。

 

自分勝手に生きてきたから、わりと不安になることもあるんだけど、どこかしらでその人のことを勇気づけることができたんだったら、「クイーンで生きていこう」と決めた価値がでてきたんじゃないかなって思いましたね。心が満たされた良い機会でしたね。

穴野をしる子

穴野をしる子 ドラァグクイーン

ドラァグクイーン

時にはディーバ、時にはダンサー、時にはマーメイド、時にはポップアートと目まぐるしく表情を変えるカメレオン。九州生まれの褐色のグラマーなボディからパッション溢れ出るパフォーマンスは、見る者全ての目を釘付けにする。新宿二丁目を拠点に日本全国に甘い薫りを漂わせて活躍中。ショーガールからホステスまでマルチにこなす、その姿は夜に咲く南国の食虫花。麗しきその名は穴野をしる子!

名前は、当時働いていたゲイバーのママが命名。「まえまわり受け身」か「穴野をしる子」の候補から選択したそう。

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