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月刊TENGAvol.13_今こそ語る。セクシャルライフの未来像

株式会社TENGAは、毎月月末にメディア向けニュースレター「月刊TENGA」を配信しております。
第13号は「今こそ語る。セクシャルライフの未来像 テクノロジーで創る令和の性」ということで、
SF作家の森奈津子さんと、テクノロジーの専門家である未来予報株式会社さんに
「未来のセクシャルライフはどのように進化していくのか」についてお聞きしました。

 

【月刊TENGA Vol.13】今こそ語る。セクシャルライフの未来像。テクノロジーで創る令和の性。

 

●専門家インタビュー:「触覚再現スーツを使って遠隔でも触れ合える」
●SF作家インタビュー「VR上で異性や架空の生物の性感覚も楽しめる」
●TENGA開発部長インタビュー: 「マスターベーションを文化に昇華させる」
●専門家の思い描く性の未来像をイラスト化

 

 

くわしくはこちら→月刊TENGA13号_令和に語るセクシャルライフの未来像

 

 

 

■TENGA開発部長インタビューの全文は下記です。

TENGA開発部長インタビュー: 「マスターベーションを文化に昇華させる」
開発部 部長(執行役員)遠藤海

 

マスターベーションの未来がどう変化していくか。100年200年と経てば、SFのような仮想現実で、セックスの疑似体験としてのマスターベーションが実現化するかもしれませんが、今のVR技術などを考えれば、まだまだ先の話だと思います。ここは近い未来、特に日本に限定して考えていきたいと思います。先んじて結論を言ってしまえば、『リラクゼーションやラグジュアリーとしての性質が強くなっていく』というのが私の考えです。

 

TENGAが登場してから14年、アダルトグッズの立ち位置や、性に対する世間の認識というものは大きく変化してきました。そんな中で“マスターベーションそのもの”が変化してきたかというと、根本的なところは何も変わっていないと思います。

 

ここ10〜15年でのソフト的な話で言えば、AV女優の立ち位置が変化してきたり、VRがアダルトコンテンツを盛り上げてきたり、漫画喫茶や個室ビデオ店がAV鑑賞の場として発展したりなど、多様な変化は起こってきました。

 

では、コンテンツやその環境が変化していく中で、ハードの部分がどう変わったかと言えば、テクノロジーの進化はあったものの、行為そのものを変えるようなものはありませんでした。ひとつあるとすれば、TENGAの登場によって、“道具を使ってのマスターベーション”が普及したことでしょうか。もちろん、TENGAの技術も進化していくことで、新たな快感やスタイルを追求してきましたが、ソフトやコンテンツの進化に比べれば、変化は少ないと感じています。

 

マスターベーションの行動原理が変わると言ってもピンと来ないかもしれませんが、例えば『食事』は、単なる栄養補給から、味覚を楽しむという行為に変化しました。飽食の時代においては、空腹でなくても、味を楽しみたいから何かを口にするというレベルまで“昇華している”と言えます。睡眠や排泄も同じで、ただの休息するための睡眠ではなく、触覚・聴覚・嗅覚全部を満たしながらリラクゼーションをする行為に変化したり、ただの排泄行為が漫画や読書をしながら、究極的なプライベート空間でひとりでゆったりする行為になるなど、行為の目的や付加価値が変化して来たのが現代です。

 

マスターベーションも、人間の日常生活の中での、食事や排泄や睡眠などと同じレベルの、根源的な欲求から来る行動です。同じように変遷していくのが自然な流れのように感じています。つまりは、プライベート空間で行う、リラクゼーションとしての認識が高まり、そこを豊かにしていこうという意識が生まれていくという考え方です。むしろ、そういう文化や体験として提案していくのが、次のTENGAの課題なのではないかとも思います。

 

しかし、そう言った流れは、あくまで変化の途中段階かもしれません。TENGAの登場で色々なものが変わってきたと評されることもありますが、食事文化や入浴文化など、ただの生活習慣が“文化”として成熟してきたように、マスターベーションがひとつの“文化”として、大きく変化していく可能性は十分にあります。そう言った意味では、近年の変化ではまだ小さい、むしろ変わっていないのではないかというのが私の感想です。

 

今も昔も、そして、ほんの少し先の未来までは、『ムラムラするから、性欲を“処理”してスッキリする』という行動原理そのものが変わることはないのではないかと予想しています。日本人の特性として、性文化に劇的なパラダイムシフトが急に起こるというのは難しく、ゆっくりと変わっていくと思います。また、まず変わるとすれば、マスターベーション観よりも先に、セックス観が変わる、変えていく必要があると思います。

 

セックス観の変化だけ見れば、マスターベーションよりも先に変わっていくと感じています。加速度的に多様化していく日本人の価値観の中で、晩婚化や婚姻制度が見直され、戸籍や親族という考え方が多様化し、家族のカタチが変わっていくにつれ、結婚しなければならない・恋人を作らなければならないという意識は薄れ、さらには『童貞/処女が恥ずかしい』と言った考えさえも薄れていくのではないでしょうか。

 

もしも、セックスの『人生における重要度』が薄くなっていくならば、今現在広く認識されている『マスターベーションはセックスの代替行為』という認識そのものがが薄くなります。同時に『マスターベーションは恥ずかしいものではなく、生理現象的に普通のことである』というTENGAの主張が広まれば、ただの排泄行為が、綺麗なトイレ文化に変遷したように、ただの性欲処理が、『充実したプライベート空間でのリラックスを追求したリラクゼーション文化』に変遷していっても、おかしくはありません。

仰々しく論じなくても、単純に『セックスをしたいが為に時間とお金を使うよりも、良い道具と良いコンテンツで、有意義にリラックスしたマスターベーションをした方が、生活に潤いが生まれる』と言われて、納得できる人は現時点でも多いのではないでしょうか。

 

代わりに、性風俗の文化が発展するのではないかと考える人も多いかと思いますが、近年の女性の権利に対する世界の動きや、少子化や多国籍化による労働環境の変化といった観点から、むしろ衰退していくのではないかというのが私の考えです。(個人的な考えで言えば、性風俗は全て国営にしてしまって、職業訓練や資格取得の補助など、性風俗をやらざるを得ない人々のセーフティネットとして機能させるべきかと思いますが…。)
いずれにせよ、性風俗が衰退しつつ、TENGAやVRコンテンツのようなテクノロジーが進化することで、個人的な空間でひとりで楽しむリラクゼーションやラグジュアリーとしてのマスターベーションに変遷していくのが、大きな変革の中の、最初の一歩なのではないでしょうか。

 

こういったことを書くと、やはりTENGAの普及は少子化を加速するのではないかという懸念が生まれますが、ただの享楽の結果として、産めよよ増やせよの理論で止める少子化に意味はないと感じています。少子化そのものは社会制度や金銭的な豊かさで止めるべきものであって、子供を授かるかどうかの個々の判断は、ふたりの関係性で慎重に選択していく行為だからです。むしろ今の価値観よりも、もっと深く、もっと慎重な判断に変化していっていいとも思います。

 

そういった意味で、『マスターベーションはセックスの代替行為』という認識がなくなっていくことは、日本の育児や出産に対する意識を良くしていくものです。何故なら、『マスターベーションはセックスの代替行為ではない』という認識とセックスの立ち位置が変われば、翻って『セックスは快楽手段ではなく、愛情表現でありコミュニケーションである』と言う当たり前の認識が当たり前に広まっていく足がかりになるからです。

 

セックスは愛情表現だという考えを男のヤリたいだけの言い訳のような台詞としてではなく、ごく普通の認識として持っている日本人は少ないような気がします。もしくは若い時だけの感覚であり、年とともに幻想のように霧散するもののように持っている気がします。セックスレスが離婚事由の1つになることは周知の事実なのに、結婚時にセックスの重要度をしっかりと吟味する日本人はどれだけいるでしょうか。

 

欧米のように、夫婦関係において、セックスを重要視し、それが世間一般的に受け入れられているのは、セックスがコミュニケーションであるという認識が深いところまで浸透しているからだと思います。快楽行為としてのセックスではなく、コミュニケーションとしてのセックスを真面目に考える風潮になれば、セックスレスが解消されるなどの小さな問題ではなく、ふたりの関係性を考える下地が変わり、子供を作ることの考え方や意識そのものが変わり、家族や社会のあり方が変わっていくと考えています。

 

マスターベーションの未来が変化していくということは、セックスの未来もまた変わっていくことであり、リラクゼーションとしてのマスターベーションが普及するとともに、日本のセックスがもっと幸福で素敵なものになっていくことをTENGAとしてサポートしていくことができたら幸いです。

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